MESSAGE FROM TIM - ティムからのメッセージ

この音楽の旅は
ストーンズとツアーするようになる
ずっと前から始まっていた。


Tim Ries



Tim Ries



Tim Ries



Tim Ries
この音楽の旅はストーンズとツアーするようになるずっと前から始まっていた。ニューヨークで20年以上ミュージシャンとして暮らす私は、様々な国出身の色々な音楽知識を持ったミュージシャンたちと共演する機会に恵まれ、その都度とても楽しませてもらってきた。この街の多様性に、引きつけられてくる数多くの素晴らしいミュージシャンたちこそが、私が色々な音楽のジャンルやスタイルを愛し、関与するきっかけになった。ストーンズとのツアーは、その音楽が元々育まれた土地へ行き詳しく知るまたとない機会を与えてくれた。私の目標はどんどん明確になってきた。ツアー先の様々な国で、その土地のミュージシャンたちと、その地域特有のスタイルで、録音することだ。

伸び伸びと音楽を録音したいと思った。楽曲を世界中の色々な音楽スタイルに当てはめてみたが、アレンジはあくまでも指針で、各々の場所で参加してくれた非凡なミュージシャンたちの発射台的な役割にしか過ぎない。ほとんどの場合、重ね録りをしない一発録音で、一つの部屋で、円陣を組む様な配置で、全員の音が各々の前に設置されたマイクに混ざって収録されるという様な形態だった。これらの録音をすべて一つにまとめてくれたエンジニアのリッチ・ブリーンにとっては「挑戦」という言葉が相応しかったことだろう。それこそ世界には色々なスタジオがあり、色々な楽器とスタイルが一緒くたになっているのだから。出来る限りどのセッションでも映像を撮るように心掛け、この想像も出来ない様なイヴェントのドキュメントを残し、いずれ出したいと思うDVDに備え素材を用意しておきたかった。加えて言えば、ほとんどの場合、レコーディングの日程はあっという間に具体化したので、音楽にアレンジを付け、ミュージシャンを手配し、スタジオやエンジニアを押さえ、映像チームを手配し、この希有な機会を逃さないようにすることに追われていた。

このCDに収録されている最初のセッションは東京のソニー・スタジオで行われた。「ベイビー・ブレイク・イット・ダウン」を録音し、後にキース・リチャーズがその日の音に彼ならではのお決まりのイントロと音色を加えてくれた。もう1曲、「ア・ファンキー・ナンバー」というこのアルバム唯一の私のオリジナルもその日に録音した。最初のストーンズ・プロジェクトの発売でも重要な役割を担ってくれた素晴らしいプロデューサー、私が“88(エイティ・エイト)”と呼んでいる伊藤八十八氏はこの企画を12時間の内に実現化させてくれた。この企画に対する彼の献身と愛情には感謝が尽きない。ミュージシャンたちへは吉田美奈子が中心となって、セッションの前日にすべて呼びかけてくれた。レコーディングの初日から、これほど素晴らしい日本のミュージシャンたちが集結してくれるとは夢にも思っていなかった。ある意味、他の場所でも可能になるかもしれない、と確信させてくれた。これを念頭に、その後行く先々の地元の素晴らしいミュージシャンたちにも躊躇せずにお願いしてみることにした。

ポルトガルでアナとのレコーディングを行う直前、我々はコンサートのためにパリにいた。「愚か者の涙」をパリの才能あるミュージシャンたちと録音しようと計画するとともに、ぜひそこでチャーリー・ワッツとバナード・ファーラーの魅力を全面に出したいとも思っていた。ストーンズの全員がそのセッションのことを聞きつけ、すぐさまトニー・キング(ストーンズのア・ビガー・バン・ワールド・ツアーのメディア・コーディネーター)からチャーリーのウェブ特別コンテンツ用にセッションを映像収録してもいいかと訊かれた。映像を収録したいという申し出にワクワクしたと同時に、ドラムスが注目を浴びる楽曲が必要だという事実に気付いた。何故か、「ミス・ユー」をジャズ・ワルツでというアイディアが浮かんだ。その映像はジェイク・コールとアンソニー・グリーンの手により素晴らしい撮影と編集がなされ、ストーンズのウェブ・サイト上でたくさんのファンの目に届き喜ばれた。後に、ストーンズのDVD『ザ・ビッゲスト・バン』にも収録された。予定通り「愚か者の涙」の録音をし、想像通りバナードが最高にキメてくれた。それ以外のエピソードとしては、パリで使ったスタジオはエアコンがなく、ほぼ一日中約38度を記録していた。チャーリーは何も言わず、ただニッコリと笑ってストレート・アヘッドな演奏を披露してくれた。

ここでチャーリー・ワッツが5曲に素晴らしい名人芸を披露してくれていることに対して、きちんと御礼を申しておきたいと思う。彼は常に前向きで、いつでも私がお願いすれば嫌な顔をせず引き受けてくれた。彼の音楽感性がこれらのセッションを別次元まで高めてくれたことは間違いないし、彼の周りでは時間がとてもゆったりと流れるのだ。さらに、バナード・ファーラーとマイケル・デイヴィスの2人にはこのアルバムに協力してくれただけでなく、ストーンズ・プロジェクト・バンドの一環として世界中の様々な国で数えきれないほどのコンサートにも出演してくれたことに感謝したい。バナードはストーンズの数多くの楽曲の中でもどの歌を取り上げるべきかという貴重で洞察力に富んだ意見をくれ、彼がそれを歌うと、最初のたった1フレーズで観客の心をつかんでしまうのだ。マイク・デイヴィスのようにトロンボーンを演奏できるミュージシャンもなかなかいない。技術面で完璧なのはもちろん、音楽的にも素晴らしく信じられないほど素晴らしいハーモニー感覚を持っている。幸運にも「アンダー・マイ・サム」ではもう一人のスター・トロンボーン奏者コンラッド・ハーウィグが参加してくれている。

ロサンジェルスでオフを得たある晩、レネ・ゴイフォンの勧めで興味深いディナー・パーティに参加することとなった。レネはハルモニア・ムンディのワールド・ミュージック・レーベルで何作も素晴らしい作品を手がけているプロデューサーだ。ディナーの後にアフリカのトゥアレグ・グループ“ティダウト”が演奏した。ギタリストとシンガーが2人ずつ、パーカッショニストが1人という構成のバンドだ。なんとかして翌日キャピタル・スタジオで録音できるように手をつくし、「ヘイ・ネグリータ」を録音することとなった。ティダウトの他にはミック・ジャガーがハーモニカで、煙が立つほどカッコ良い彼なりの演奏を残してくれた。チャーリー・ワッツのグルーヴは不良ならではのカッコ良さ、ロニー・ウッドは何種類ものギターを鳴き叫ばせ、チャック・リヴェールとバナード・ファーラーに加えてLAのトップ・ミュージシャンたちが参加した。その中には私がメイナード・ファーガソンのバンド時代に一緒にツアーをしていたベーシスト、デイヴ・カーペンターの姿もあった。残念ながら、デイヴは2008年6月24日に天国に召されてしまった。彼はアコースティック/エレクトリック両方のベースの達人で、有名なジャズ・ミュージシャンたちとアルバムやコンサートで共演した。彼の冥福を祈りたいと思う。

他にもアレンジすべき色々なスタイルはあるのだが、とりあえずストーンズの行ったア・ビガー・バン・ワールド・ツアーを上手く再現できたとも思う。このストーンズ・プロジェクトは、始めた当初はこれほど何人ものアーティストが参加してくれるとか、これほど完成までに時間がかかるとは想像もしていなかった。72人もの優れたミュージシャンたちが、この善意だけで成り立っているに近い企画に参加してくれたことに感動した。世界は絶えず、マーケティング、ビジネス、そしてインターネットのグローバル化でどんどん小さくなってきている。通りを挟んだところに住む人も、大陸を超えた所に住む人もいまや隣人と呼べる。音楽を通じれば、すべては可能なのだ。あらゆる主要な宗教、種族、イデオロギーがこれらの楽曲を通じて表現されている。スタジオの中で言葉の壁に阻まれたことも何度もあったが、演奏をスタートするや否や、音楽という世界共通語が我々を導いてくれた。まるで子供の様に、境界線があいまいになる魔法の瞬間を本能的に探し出したのだ。ぜひ私の音楽と、ストーンズ・ワールドの音楽を楽しんで頂きたい。
2008.10.1 OUT!!

STONES WORLD
〜The Rolling Stones Project II〜
Produced, Arranged & Sax Played by Tim Ries
STONES WORLD The Rolling Stones Project II Tim Ries アルバムジャケット
XNYY-10004〜5(2枚組・全15曲収録)¥3,150(TAX IN)

TRACK LIST

【DISC-1】
  1. Baby Break It Down (English version, Japan)
  2. Under My Thumb (Puerto Rico)
  3. Hey Negrita (Africa)
・・・他、全9曲収録

【DISC-2】
  1. Jumpin’ Jack Flash (Spain)
  2. Angie (India)
  3. A Funky Number composed by Tim Ries (Japan)
・・・他、全6曲収録
日本盤のみのボーナストラックあり!
» 全曲を見る(TRACK LIST)



【同時発売】
Tim Ries/The Rolling Stones Project(再発盤)
Tim Ries/The Rolling Stones Project アルバムジャケット
XNYY-10006 ¥2,100(TAX IN)

TRACK LIST

  1. (I Can't Get No) Satisfaction
  2. Honky Tonk Women, organ trio
  3. Slipping Away
・・・他、全12曲収録
» 全曲を見る(TRACK LIST)



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